成功体験の再構築あるいは断捨離
Flash/Web界隈で仲良かった人たちと話す機会があると、「あの頃は良かったよね」みたいな話がよく出てくる。
「あの頃」とはつまり、キャンペーンサイトが百花繚乱にローンチされ、Flasher達がゴリゴリと制作を行い、技術ブログを書き、勉強会を開催し、お互いに切磋琢磨していた頃である。そうした中で我々は多くを学び、貴重かつ豊富な経験を得る事ができた。
「あの頃」のダイナミズムは特定の人物や企業によってもたらされていたものではない。個人が技術を公開し、議論し、あるいは表現する事でコミュニティが拡大し更に大きなムーブメントへと繋った。そうした活動そのものが個人の成長機会となり、またセルフブランディングとしても機能した。少なくとも駆け出しフリーランスの僕にとって十分なメリットを享受することができた。
もちろんFlashがプロプライエタリという点から、企業からの恩恵が無かったわけではない。ひょっとするとAdobeの仕掛けた壮大なマーケティグ戦略の一環だったかもしれないが、もしそうだったとしても「あの頃」は一向に色あせる事はない。ま、そんな手練手管があるならiOSにFlashにのってるだろうって話だが。
話が逸れたので戻そう。
「あの頃」によって得た教訓は「アウトプットを続けコミュニティに寄与すれば、必ずリターンがある」だった。スキル的にもビジネス的にもこのロジックは効果を発揮し、何よりも楽しかった。特にスキルアップや学習における快適指数は非常に高く、それは快適どころか快楽といって過言ではなかった。なにせ、重箱の隅を突くようなTipsに賞賛が送られたからだ。
しかし、上記の教訓を誰かに話しても手応えは希薄だった。もちろん真っ向から反対される事はないが、「まあ、そうだよね。けど効率悪そう」みたいな反応が多い。なぜ伝わらないのか。長らく悶々としていたが、ある時これは「成功体験の押しつけ」なんじゃないかと自省するに至った。
「アウトプットを続けコミュニティに寄与すれば、必ずリターンがある」という教訓が真だとしても、万人がそれを好み採用するとは限らない。人によっては「コミュニティとは無関係に自分のスキルを高めたい」と考えるかもしれないし、「アウトプットは必要なく仕事にだけ適応できればよい」と考えるかもしれない。僕が楽しいと思ったやり方が楽しくない人もいるだろうし、そもそも「楽しさとかいらない」という考えもあるだろう。
こうなってくるとますます人を育てるのって難しいなーという話に成ってくるんだけど、一応わたし、フリーランスなんですよ。おわり。