紙とWEB考

最近久しぶりに紙系のデザイナーさんとwebの仕事をして色々思うことがあったのでメモ。スタッフィングはもちろん紙系デザイナーさんがグラフィックデザインで自分はCSSとHTMLのコーディング。サイトは20ページ弱の個人商店の紹介サイト。

デザインはトップページが3カラム+ヘッダーでそれ以外は所謂逆L字レイアウトのオーソドックスなパターン。左にレイアウト、右にページボディが来る形だ。

で、上がってきたデザインは配色とか配置、バランスなんかが自分に無い物でやっぱり長年グラフィックやってる人はここが違うんだな、と素直に感心。ただ、どうもとコーディングがしづらいと感じる事があったので、ちょっと考えてみるとすぐに答えが出た。上記、右側ページボディの内容だが、この部分のレイアウトが結構頻繁に変わる。具体的な変更内容は「背景画像」や「インデント幅」、「行揃え」、などなど。結果的にバラエティに富んだレイアウトで、ポップな感じでまとまっている。たぶんクライアントの受けも良いはずだ。


ただ、どうにも腑に落ちないんだよ!


確かにデザインはとても良い。クライアントも納得だ。ただ、何となくweb的な"何か"とフィットしていない気がするんだ。この違和感が何であるかはなかなかデリケート。安易な事を言えば即座にバッシングされそうなので、ここは慎重に言葉を選ばねばならない。そして、少なくともコーディングがめんどくさいってだけの問題じゃないと願いたい。


ここで一つ仮説を立ててみた。レイアウトのバラエティがページ数の割に豊富すぎる点だが、これは「必ずそれぞれのページで異なった見せ方をしなければならない!」という脅迫観念にもにたテーゼが存在しているんじゃないかと思う。もちろん文章の字数が少なくて見栄えが悪いため、グラフィック的に解決する必要があったりもするんだが、それにしてもやはり過剰だと思う。それに更新性や反復性を阻害しているという事実がやっぱり大きい。

ここでもし自分だったらと考えてみると答えは明白で「更新性と反復性を阻害しない範囲で見栄えを整える」だと思う。言い方を変えると「規定のレイアウトの中でのみ出来ることにとどめる」だ。或いは「文章が増えるまで諦める」の以上二択だろう。つまり、自分にとって諸事情でページの見栄えが多少寂しくなっても「必ずそれぞれのページで異なった見せ方をしなければならない!」とは決して思わない。仮にもしクライアントから「ちょっと寂しいね」と言われても「更新性と反復性」を理由に大胆なレイアウトの変更はしないと思う。

これは「更新性・反復性」だけの問題だけではなく、そもそもは文章でクリアすべき問題をグラフィックによって体裁だけを整えても根本的解決になってないので間違ってはいないと思う。

たぶん紙系デザイナーさんも文章でクリアすべき問題を取り繕っているだけなのは重々承知だと思うが、この「更新性・反復性」、特に「反復性」についてどこまで注意を払えているかは厳しいと思う。

「必ずそれぞれのページで異なった見せ方をしなければならない!」は確かに見た目には楽しいかもしれないし、デザインスキルの向上にも一役買うだろう。更新性も運営側の努力で解決できる。ただ、反復性に関しては失われたまま帰ってこない。反復性はユーザーインターフェイスやユーザビリティと深い関連がある。webサイトはより使いやすく無ければならない。紙のデザインで使いやすく作ることはあるのだろうか?おそらくそれは使いやすくではなく、読みやすくじゃないかと思う。


ここにwebデザイナと紙デザイナの間にある深くて広い川を見た気がする。

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